カリーナED
 
カリーナEDは、バブル期のトヨタ自動車の生産品で、初代のEDはとにかく爆発的にヒットした。1985年から1998年の3代に渡る生産であったが、バブル期を背景とした時代の徒花の様な感があり、3代目はバブル期終了後の設計だった為、2代目までの豪華な装備が削られる傾向と、時代に合わせた車輌の大型化と安全性能の確保が、そもそものカリーナEDの特徴を失わせていったと言える。

「カリーナ」は竜骨座、「ED」はExciting Dressy(エキサイティング・ドレッシィ=刺激的で洒落ている)の意味だが、カリーナ(竜骨座)の意味の脈絡はよくわからない。単純に「C」から始まる名詞に拘ったようにしか思えない。またトヨタとしても後に「勃起不全」がドイツ語の「インポテンツ」からまさか英語の「ED」に替わるとは思わなかっただろう。

初代モデルは1985年~1989年で、低い全高を実現する為に強く傾斜した前後ピラー、Bピラーレスを採用したハードトップで、ハードトップ4ドアクーペとカテゴライズされた。1989年~1993年の2代目のモデルは、初代のコンセプトを継承し、標準装備の豪華さが追求された。また4WS車も設定された。運用していたのはE-ST182型式(排気量2000cc、ハイメカツインカム、EFI、FF、2WS)であった。

トヨタの技術は「なんちゃって」にある。「ハイメカツインカム」と銘打ち、安普請なDOHCを安価に市場投入し、カタログスペックしか読み取れない消費者の心を鷲掴みにする。ST182型式はインジェクションに関してはマルチポイント(気筒毎)化されていて、それまでの「なんちゃって」に近い「Ci(セントラルインジェクション)」は卒業している。4WSに関しては、その当時の日産自動車の「SUPER HICAS」などに比べると、やはり「なんちゃって」の感が強い。しかしながら、トヨタの強みは、より熟れた(こなれた)技術を、比較的安価に市場投入し、トラブルの際にもサービス拠点網の充実で安価にリカバリーができることであり、自動車単体の性能として評価するものでは無かろう。実際に運用していたカリーナEDは、走行系統の機器トラブルで、終わったのでは無く、エアコンの故障で終わりとなった。つまり「なんちゃって」なのだが、それはそれで有効なのである。
 
TOYOTA カリーナED 2代目 (20180910公開動画)
 

 
Table 1 : トヨタ Carina ED(E-ST182) 主要諸元
名称 カリーナ ED
型式 E-ST182
ボディタイプ ハードトップ4ドアクーペ
全長×全幅×全高(mm) 4,500×1,690×1,315
排気量(cc) 1,998
エンジン型式 3S-FE
エンジン区分 ガソリン
エンジン種類 直列 4気筒・ハイメカツインカム
最高出力(PS / rpm) 140 / 6,000
最大トルク(kg・m / rpm) 19 / 4,400
燃料供給装置 電子制御式(EFI)
燃料タンク容量(L) 60
サスペンション 前 ストラット式
サスペンション 後 ストラット式
タイヤサイズ 前 185 / 65 R14
タイヤサイズ 後 185 / 65 R14
最小回転半径(m) 5.2
駆動方式 FF
ミッション フロア 4AT
ブレーキ 前 Vディスク式
ブレーキ 後 ディスク式
10-15モード燃費(km/l) 10.8
 

 
第14弾 1分でわかるカリーナED! (20171119に公開された動画)
 

 
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